東京都市大学 工学部機械工学科 機械力学研究室
Mechanical Dynamics Laboratory, Tokyo City University
〒158-8557 東京都世田谷区玉提1-28-1
世田谷キャンパス 10号館3階
2022年度 研究テーマ
6分力ホイールセンサにおける荷重伝達の検討
指標Ustarを用いた剛性線導出システムの構築
ミニカーの対普通車両側面衝突時における衝突安全性に関する研究
歩行者対自動車衝突における歩行者の頭部傷害値の検討
自転車乗員のためのAACNの構築に関する研究
機械学習に基づく転落時の頚椎損傷の予測
CAE解析を用いた交通事故時の車両挙動解析に関する研究
自動車前面衝突時における胎盤位置による胎盤早期剥離の検討
パーソナルトランスポーターの隊列走行制御システムに関する研究
パーソナルトランスポーターのシミュレータ構築に関する研究
自動車の遠隔操縦者の運転特性と視覚支援に関する研究
自動車の遠隔操縦における運転特性と協調型支援に関する研究
操舵支援システムに対するドライバの適応に関する研究
自動運転トラックのODD及びMRMに関する実験
高速道路における自動運転トラックを想定したMRMの研究
超小型モビリティと歩行者の親和性についての研究
6分力ホイールセンサにおける荷重伝達の検討
概 要
6分力ホイールセンサは,センサ各部でひずみを計測することで走行時の路面入力を計算するセンサであり,車両挙動の解析や車両挙動のシミュレーションデータの収集等に用いられる.ホイールセンサには耐荷重性能や検出精度の向上が求められており,設計においてはホイールセンサ内の荷重伝達を把握することが重要である.構造内の荷重伝達を定量的に表現する指標としてUstarが提案されており,Ustarから構造物における荷重伝達を把握することができる.本研究では,CAEによりホイールセンサ内で荷重伝達の様子を明確化する.これにより,剛性が高く,高い精度でひずみを検出するセンサの構造を提案する.
メンバー
稲村 (M1) 伊藤 (B4)
指標Ustarを用いた剛性線導出システムの構築
概 要
構造物における荷重が伝達する経路である剛性線を把握することで,構造各部の機能を明らかにしながら設計を進めることが可能となる.そこで,荷重伝達を定量的に表現する手法として指標Ustarおよび近似的な剛性線導出の手法が提案されている.本研究では,既存のシステムにおける課題点を解決し,複数種類の要素で構成された複雑な構造において,Ustarの勾配に基づく厳密な剛性線を導出するシステムの構築を行う.さらに構築したシステムを乗用車車体モデルに適用し,合理的な対応を含めた形で剛性線導出システムを提案する.これにより複雑な構造物における剛性線を導出し評価方法を確立することで,荷重伝達の観点から優れた構造の設計に活かす.
円孔板の剛性線 | 三次元構造物における剛性線 |
メンバー
志賀 (M1) 大内 (B4)
ミニカーの対普通者側面衝突時における衝突安全性に関する研究
概 要
現在,高齢化や自動車の環境性能への関心の高まりに加え,小口配送の需要への効率的な対応で物流を活性化させることがミニカーを含む超小型モビリティに期待されている.その一方で,小型かつ軽量な車体であるために事故発生時の乗員への被害が大きくなる.ミニカーには法規や自動車アセスメント等において衝突試験が義務付け等はなく,公的に衝突安全性能の検討が不十分である.交通事故統計よりミニカーの対車両の事故形態では出会い頭の事故が最も多く,対車両の衝突安全性について検討する必要がある.そこで、本研究ではミニカーの対車両側面衝突に着目し,車体の構造や乗員の傷害値について検討する.
実車実験 | 解析モデル |
メンバー
寺沢 (M2) 田村 (B4) 松本 (B4)
歩行者対自動車衝突における歩行者の頭部傷害値の検討
概 要
令和3年度,日本の交通事故死者数2636人となっている.歩行中の死亡事故は平成22年から令和3年の11年間,状態別死亡件数で最も高い状態が続いており歩行中の死亡事故への対策がさらに必要である.現在日本では歩行者頭部保護性能試験,歩行者頸部保護性能試験が導入され,自動車との衝突時に歩行者へ与える傷害値評価が行われている.しかしながら,自動車との衝突後の歩行者挙動の検討は十分に行われていない.
先行研究では,男性歩行者回転量が0.25~0.75回転の間では頭部傷害値が低いのに対し,1.25回転では頭部傷害値が大きくなることが分かっている.そこで本研究では,女性歩行者対自動車衝突時の女性歩行者の衝突後挙動に着目し,車両形状や衝突速度が女性歩行者回転量に与える影響の検討を行い,頭部傷害値が最大である女性歩行者回転量1.25回転となる衝突条件の明確化を目的とする.
解析モデル |
メンバー
大庭(B4)
自転車乗員のためのAACNの構築に関する研究
概 要
令和元年の状態別交通事故死者数の交通弱者の割合は66%を占めている.そのため,交通弱者のための先進事故自動通報システム(以下,AACN)が実用された際の人命救助に関わる効果が期待される.そのため本研究では,スマートフォン(以下,スマホ)に着目し,内部に搭載されている加速度計を用いることで自動車との衝突時の加速度などの情報からトリアージを行うことが出来るAACNアルゴリズムの構築を目的とする.
本年度はスマホのデータを用いたアルゴリズム構築において,加速度計のダイナミックレンジやサンプリング間隔の性能に合わせた解析手法を検討する.また,CAEによるモデル化を行い,加速度波形とスマホの計測波形の模擬生成を行う.
実車衝突実験 | CAE解析モデル |
メンバー
栗田 (B4) 渡邉 (B4)
機械学習に基づく転落時の頚椎損傷の予測
概 要
国内の労働災害において,墜落・転落が死亡災害,休業4日以上の死傷災害ともに高い割合を占めている.墜落・転落事故では墜落高いほど重症化することが予想される.しかし,墜落高さが小さい場合においても頚椎への荷重のかかり方により重大な事故につながる可能性もある。そのため、墜落・転落事故時は救命措置として受傷者の頭部,また頚椎の保護が優先される.本研究では,転落姿勢に作用する因子を特定し,その因子を解析条件とし解析を行う.また,機械学習を用いて転落・墜落状況から傷害の予測を立てられるようにするために,転落・墜落事故の救命時に解析結果を使用し,転落・墜落事故時の受傷者の重症度を受傷者の体格および環境等の諸因子から判断を行えるシステムを構築する.
転落前 | 転落後 |
メンバー
中山 (B4)
CAE解析を用いた交通事故時の車両挙動解析に関する研究
概 要
現在,交通事故発生にあたっては再発防止と類似の事故発生の予防が求められている.交通事故は様々な形態で頻発し,類似の事故も多いとは言えず,事故予防のために3つの段階による分析,衝突解析,定性的時系列自己分析,統計分析が行われている.この中で車の動きを解明する衝突解析は,交通事故における車の走行段階から車両停止に至る運動の過程は不明確である場合が多い.そのため,発生した事故について車の挙動を解析することが求められる.本研究では, CAE解析を用い実際の衝突事故を再現したシミュレーションを行い,事故車両の挙動を解析する.
reference |
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PC-Clashを用いた解析 |
メンバー
中村 (B4)
自動車前面衝突時における胎盤位置による胎盤早期剥離の検討
概 要
現在,日本では第10次交通安全基本計画の中で子供などの交通弱者の安全の確保が重要とされており,子供の安全を確保する上で胎児の段階からも交通安全を検討する必要があるため,妊婦と胎児の交通障害を予防することが求められている.
高速域の交通事故における胎児の死因の断定は困難だが,低速域の交通事故における胎児の死因の50%〜70%が胎盤早期剥離であることが知られている.
また,胎盤の位置によって自動車前面衝突時における子宮と胎盤への影響も異なる.
本研究では,子宮と胎盤の応力を算出可能な再現モデルを作成し,各胎盤位置における自動車前面衝突時の負荷による胎盤の剥離条件,剥離抑制方法について検討を行う.
子宮モデル | 妊婦FEモデル |
メンバー
志賀 (M1) 内田 (B4)
パーソナルトランスポーターの隊列走行制御システムに関する研究
概 要
近年,segway®personal Transporterなどの登場により移動支援ロボット(以下,PT)をはじめとする超小型モビリティが注目されている.現在,PTは国内においても観光地や空港の警備などで用いられている.PTは個人に対して比較的自由な移動範囲を提供できる一方で,乗り捨てられたPTを運搬,回収する際には台数分の人員や労力が必要となることが課題である.この問題を解決するために,先頭のPTのみ人が操縦し,後続のPTが自動で追従する隊列走行を行うことがあげられる.本研究では単眼カメラを用いて自己位置推定を行い,旋回追従制御システムの構築を行う.また,PTの隊列走行時の追従性能や社会的受容性を評価する.
実験風景 |
メンバー
村田 (M1) 大林 (B4) 蓮見 (B4)
パーソナルトランスポーターのシミュレータ構築に関する研究
概 要
近年,視認性と機動性に優れたパーソナルトランスポーター(以下PT)が欧米を中心に利用されている.日本においても観光ツアーや警備に採用され,普及が進んでいる.一方海外では乗員の不注意等による事故が報告されており,運転者に障害物を認知させる運転支援が必要である.運転支援の評価にあたり,安全確保や実験条件統一のためシミュレータを用いた研究が重要となる.そこで本研究ではシミュレータの構築と力覚支援の評価を目的とする.またシミュレータの視界や動特性の再現性の向上を図る.研究手法として,ゲームエンジンを用いたPTのシミュレータソフトを構築し,インターフェースで乗員の重心移動を運転挙動に反映させPTの運転を模擬する.
シミュレータ環境 |
メンバー
柴沼 (M2) 大平 (B4) 小谷 (B4)
自動車の遠隔操縦者の運転特性と視覚支援に関する研究
概 要
自動車の自動運転システムの更なる発展が期待される一方で,複雑な交通状況下において自動運転システムが停止することが考えられる.その対策として,操縦者が遠隔操縦で適時介入するというものがある.しかし,遠隔操縦は実際の運転環境と異なるため,操縦者の負担が大きい.そこで,遠隔操縦に適した新たな運転支援が必要であると考えられる.本研究では,遠隔操縦者の運転特性を評価し,遠隔操縦に適したHMIの考案することを目的とする.車両運動と操縦者の生理的特徴から操縦者の運転特性を明らかにする.そして,評価した運転特性から,視覚による運転支援を導入したHMIを考案し,その有効性を評価する.
遠隔操縦画面 | アクセルペダル |
メンバー
石川 (M2) 小宮 (B4) 青木 (B4)
自動車の遠隔操縦における運転特性と協調型支援に関する研究
概 要
近年,ドライバー不足を原因とする地方における交通空白地帯の増加が社会問題となっている.その対策として,自動運転を活用し少人数化した人員輸送サービスの運行が開始しており,緊急時の介入手段として遠隔操縦が導入されている.しかし,遠隔操縦は通常の運転と比較して運転負荷が大きいとされている.その対策として,人間が判断し機械が操作することで,人間の負担を低減する人間-機械協調型の運転支援を導入したインターフェイスが有効であると考えられる.本研究の目的は,遠隔操縦車の運転特性を評価と,遠隔操縦に適したインターフェイスの考案とする.運転特性の評価にはドライビングシミュレータ実験における車両運動と操縦者の生理的特徴の解析を用いる.
ドライビングシミュレータ | 協調型支援モデル図 |
メンバー
石川 (M2) 平塚 (B4)
操舵支援システムに対するドライバの適応に関する研究
概 要
近年,ヒューマンエラーによる事故を減らす目的として運転支援システムや自動運転などの開発が行われている.現状の運転支援システムは人間主体のシステムのため,受容性を考慮し修正操舵力が抑制されている.一方で,運転支援を強くすると制御性能は上昇するが,受容性は低下する.そのため,運転支援システムにおける制御性能と受容性の両立が課題となっている.本研究では,ドライバに受容されるシステム中心の操舵支援システムの作成を目的とする.
ドライビングシミュレータ | 等価二輪モデル |
メンバー
小谷 (M1)
自動運転トラックのODD及びMRMに関する実験
概 要
トラック物流業界ではドライバ不足や脱炭素化の環境問題などに直面している.これらの解決策として,トラックの自動運転システムの技術開発が進められており,2025年に高速道路での商業化を目指している.自動運転システムは未だ開発段階の技術であり,完全に安全な走行が行える技術水準に至っていない.トラックの性能及び使用用途に応じた運行設計領域ODD (Operational Design Domain)を定め,事故が生じないようにする必要がある.本研究では自動運転レベル4を想定したトラックが走行できるODDの検討・構築し,HILS(Hardware In the Loop Simulation)を用いて自動運転レベル4を想定したトラックの高速道路走行中の緊急時におけるMRM(Minimum Risk Maneuver)のシミュレーションと動作の確認と評価を行う.
reference |
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自動運転 | HILS概要 |
メンバー
渡辺 (M1) 清水 (B4) 菅原 (B4)
高速道路における自動運転トラックを想定したMRMの研究
概 要
近年,トラックの物流業界においてトラックドライバー不足,運送の効率化などの問題点があげられる.これらの解決策として大型トラックの自動運転システムの開発が考えられる.しかし実車検証を行うことは安全面において危険性があり,コスト面において時間やお金がかかってしまう.そこで実車走行に近いシミュレーション検証ができるHILS(Hardware In the Loop Simulation)を用いて検証実験を行う.本研究では,自動運転システムの開発期間の短縮を目的とし,HILSを用いて高速道路の特定の条件下における大型トラックの自動運転システムのMRM(Minimum Risk Maneuver)の評価・検討を行う.
reference |
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HILS | 自動運転トラック |
メンバー
渡辺 (M1)
超小型モビリティと歩行者の親和性についての研究
概 要
近年,都市の賑わい空間を創出するために,道路空間を人々のアクティビティスペースとして活用し、超小型モビリティを利用することが検討されている.このような道路空間では,自動車の通行だけでなく,PMV (Personal Mobility Vehicle)などの超小型モビリティと,歩行者が混在することが見込まれる.歩行者と超小型モビリティが混在する場合,超小型モビリティの走行経路に対する安全性の確保だけでなく,歩行者に対する心理的な安心の確保も必要となる.そこで,本研究では超小型モビリティの都市部への親和性向上を目的として,PMVの一つであるリーン車両が,都市部の自由歩行空間で共存する歩行者へ与える影響について評価する.
シミュレーション映像 |
メンバー
小谷 (M1) 芳原 (B4)